【確定申告初心者向け】所得控除、ちゃんと理解できていますか?所得控除をしっかり適用して、納税額を減らそう!

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令和4年度の確定申告期間もあと半分となりました。申告内容が納めるべき税金の額に結びつくため、なるべく税額が少なくなるように、使える制度はどんどん使っていきたいものです。

そうは言っても、特に確定申告に不慣れな方は、申告するのに精一杯で制度について調べる余裕もあまりないでしょう。そこで本記事では、税額を少なく抑えるために知らないと損をする「所得控除」について、イメージレベルで分かりやすく解説していきます。適用できるのに適用していない控除がないか、本記事を参考にチェックしてみてください。

所得控除の概要

所得控除の位置づけ

まず、所得控除がどのように税額に影響するのか、おさらいしておきましょう。

所得税額は、ざっくり言うと以下のように計算されます。

所得税額 =(所得金額 ー 所得控除額)× 税率 - 税額控除額

つまり、所得控除額が多ければ、税率をかける前の金額が小さくなるため、最終的に計算される所得税額が少なくなるという構造です。この辺りの計算についてより細かく見たい方は、別の記事にまとめてますので、ぜひご参照ください。

所得控除の種類

さて、それでは所得控除にはどのようなものがあるのでしょうか。下表の通り、所得控除には15種類があります。

No控除項目適用できる方(ざっくり)
1雑損控除災害や盗難等で資産に損害を受けた方
2医療費控除自分及び家族のために支払った医療費が一定額を超える方
3社会保険料控除社会保険料(年金や健康保険料)を支払っている方
4小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済や、個人型確定拠出年金(iDeCo)などに加入している方
5生命保険料控除生命保険や医療保険に加入している方
6地震保険料控除地震保険に加入している方
7寄付金控除国・地方公共団体や、その他公共性の高い団体に寄付をした方
8寡婦控除夫と離婚して、その後結婚していない方
9ひとり親控除ひとり親の方
10勤労学生控除勤労学生の方
11配偶者控除配偶者がいる方
12配偶者特別控除配偶者がいる方
13扶養控除扶養している親族がいる方
14障害者控除自分が障害者もしくは親族に障害者がいる方
15基礎控除基本的に全員が対象

さて、それぞれの項目の内容について、少しだけ細かく説明していきたいと思います。

各所得控除の概要

雑損控除

いきなりややこしい項目が登場しますが、これは、お持ちの資産が災害や盗難等で失われた場合に適用できる控除です。控除額の計算は複雑で、失った資産額の全額が控除されるわけではありませんが、災害や盗難に遭われた方はぜひ詳細を調べてみてください。

なお、よく勘違いされるのですが、詐欺に遭った場合は雑損控除の対象にはなりませんので、お気を付けください。

医療費控除

医療費控除は、支払った医療費が一定額を超える場合に適用できる控除項目です。この控除のポイントは2つあります。

①控除額は、医療費の総額から10万円を引いた金額全額となります。ただし、所得の小さい方は、差し引く金額が10万円より小さくなります(つまり、多くの金額を控除できます)。

②対象の医療費は、自分の分だけではなく、家族の分も対象になります。

ただし、②についてはもちろん、1つの医療費に対して自分も家族も確定申告で控除を受けることはできません(二重取りはできない)ので、その点だけご注意を。

社会保険料控除

この控除項目は、支払った社会保険料金額が全額所得から控除されるものです。社会保険料とは、サラリーマンで言えば厚生年金や健康保険、自営業であれば国民年金保険や国民健康保険などが該当します。

1年間で支払う社会保険料は決して小さなものではないため、ちゃんと支払っている方は必ず社会保険料控除を活用しましょう。

小規模企業共済等掛金控除

「小規模企業共済等掛金」とは、何やら耳慣れない言葉ですが、この控除の対象にはいくつかがあります。そのうち最も有名なものはiDeCo(個人型確定拠出年金)ではないでしょうか?

iDeCoは、若いうちに掛金を拠出しておいて、老後にその拠出金を原資とした年金または一時金がもらえる制度です。そして、この小規模企業共済等掛金控除では、拠出した金額の全額を控除対象金額とすることができます。

ただし、1点留意してもらいたい点があります。それは、老後に年金または一時金をもらう段階で、その金額に対して税金がかかるということです。年金やiDeCoの一時金は税制上優遇されているため、損をすることは基本的にないとは思いますが、非課税ではないという点だけ覚えておくとよいかなと思います。

生命保険料控除

生命保険料控除は、文字通り、生命保険を支払っている場合に、一定の計算式に基づいた金額が控除されるという項目です。支払った保険料全額が控除されるわけではない点には注意しましょう。

ちなみに、最大で12万円が控除されます。

地震保険料控除

地震保険料控除も文字通りなのですが、地震保険料を支払っている場合に適用できる控除項目です。控除金額は、保険料の全額(最大5万円まで)となります。

寄付金控除

寄付金控除は、国・地方公共団体や、その他公共性の高い団体に寄付をした場合に適用できる項目です。と聞くと、あまり自分には関係ないと思われるかもしれませんが、ふるさと納税をやっている方はこの控除が使えます。控除額は寄付金の額から2,000円を引いた金額になります。

ちなみにふるさと納税では、所得税だけではなく住民税でも大きな控除が受けられます。しかしながら、たまにギリギリまで寄付した結果、控除限度額を超えてしまう方を見かけますので、少し余裕を持った額までの寄付に留めるのが、個人的には無難かなと思います。

寡婦控除・ひとり親控除

これらの控除は、配偶者と離婚した方で一定の要件を満たす方が活用できる控除項目です。一定の要件というのはやや複雑なのですが、ざっくり言うと、寡婦控除は夫と離婚してその後結婚していない方、ひとり親控除はその名の通りひとり親が活用できる控除項目です。

ポイントは3点あります。

①寡婦控除は「寡婦」と名にある通り女性のみが活用できますが、ひとり親控除は女性も男性も適用することができます。

②両控除の併用はできません。

③寡婦控除の控除額は27万円、ひとり親控除の控除額は35万円と、ひとり親控除の方が控除額が大きいです。

そのため、寡婦の方でひとり親控除の要件を満たす場合には、税金面で有利になるひとり親控除が適用されることになっています。

勤労学生控除

勤労学生控除も文字通りなのですが、学生で働かれている方が対象となる項目です。その控除額は27万円です。

配偶者控除・配偶者特別控除

これらの控除項目は、いずれも一定の所得以下である配偶者がいる方に適用される項目です。

少し具体的に言うと、配偶者の合計所得金額が48万円以下(例えば、パートなどをやっていれば、収入金額ベースで103万円以下)であれば配偶者控除が、それ以上だが合計所得金額が133万円以下(収入金額ベースで201万円以下)であれば配偶者特別控除が適用できます。

なお、申告する側の合計所得金額にも制限があり、900万円以下であれば満額を控除できますが、900万円超950万円以下ではおよそ2/3の額、950万円超1,000万円以下ではおよそ1/3の額、そして、合計所得金額が1,000万円超の場合は適用することができません

ちなみに、控除の最大額は38万円となっています。

扶養控除

扶養控除は、自分が扶養している親族がいる場合に適用される控除項目です。ここでいう「扶養している親族」とは、合計所得金額が48万円以下の親族のことを言います。

なお、控除額は扶養親族の属性により、以下のように異なります。

・12/31時点で70歳以上、かつ、同居している→58万円
・12/31時点で70歳以上、かつ、同居していない→48万円
・12/31時点で19~22歳→63万円
・それ以外→38万円

また、16歳未満の子は児童手当の対象になるため、この扶養控除の対象にはならない点だけ、お気を付けください。

障害者控除

障害者控除は、自分、配偶者もしくは扶養親族が障害者である場合に適用できる控除項目で、控除額は以下の通りです。

・特別障害者で同居している→75万円
・特別障害者で同居していない→40万円
・一般障害者→27万円

ここで、よく誤解されている方が多いのですが、障害者控除と上で紹介した配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除は重複して控除を受けることができます。もしどちらの控除要件も満たしている場合は、忘れずにどちらも申告するようにしてください。

基礎控除

さて、最後に紹介する基礎控除ですが、これは基本的に誰でも適用することができ、その控除額は48万円です。

ただし、(あまり気にする必要もないかもしれませんが)合計所得金額が2,500万円を超える方は適用できない他、2,400~2,500万円の方も一部金額しか控除できない制度になっています。

おわりに

かなりざっくりと所得控除について説明してきましたが、もしこれを読んで、「もしかしたらこの項目は使えるかも?」というものがありましたら、Webで調べたり、税務所に問い合わせたり、知り合いの税理士等に聞いてみたりして、ぜひ申告対象に含めるようにしてもらえればと思います。

本記事が皆さんの節税につながりましたら幸いです。

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